ヨーロッパのマンション(第十三歩)
■ドイツにおける分譲住宅と賃貸住宅の関係
ドイツの住宅事情については、4年毎に実施されているマイクロセンサスというものがあります。これは、ドイツ全国の持ち家(分譲マンションも含む)と賃貸住宅(賃貸マンションも含む)に係る調査ですが、最近では2018年に発表されていますので一部を紹介します。
結果を見るとドイツ16州の内、各州での持ち家と賃貸住宅の比率が判ります。2018年の数字を見ると、持ち家は46.5%で、2010年の45.7%よりじゃ間増えているようです。この中には一戸建て住宅も含まれていますが、それでも他のEU諸国に比べるとドイツは依然として賃貸住宅が多い国(53.5%)となっています。
しかし、この比率はドイツ国内においても大きな地域差があるようです。例えば、旧西ドイツ(旧連邦州)のほぼすべての州における持ち家率は、旧東ドイツ(新連邦州)の4州よりも高い値を示しています。しかし、農村地域が多い新連邦州の一つであるブランデンブルク州での持ち家率は12%ポイント上昇しています。ドイツで最も持ち家率が高いのはザールラント州で、3つのマンションのうちほぼ2つ(65%)が分譲住宅という結果になっています。
また都市部と農村部の間でも違いは明らかです。都会では、主に賃貸住宅で生活している人が多いことを意味しており、例えば、2018年、ドイツの独立都市(郡に属さない都市)の持ち家率はわずか27%です。トップ7の大都市(ベルリン、ハンブルク、ミュンヘン、ケルン、フランクフルト・アム・マイン、シュトゥットガルト、デュッセルドルフ)においては、わずか22%です。大都市に隣接する自治体では、持ち家率は44%を超えており、いかに緑が豊富な郊外に住みたいというドイツ人の気持ちがわかる気がします。一方、農村部では、分譲住宅の比率の方が多く、大都市から離れているほど賃貸ではない傾向が見られます。
ドイツは日本と違って利用できる土地が7割ほどあり、それに加え都市構造が多極分散だからこのような結果になるのでしょうか。
(独ベルリン 是沢 正明)