マンション関係判例集(第十歩)

〇理事会決議無効訴訟

3.■理事会決議無効訴訟  【理事会の充足数】 東京地判 平27年1月23日
概要
①理事5名の定員のうち1名が解 任されて4名となったが、理事会の充足数は規約上定員5名の理事の半数以上に当たる3名の出席が必要であり、2名の出席による理事会決議は無効であるとの原告(解任された前理事長)主張
②理事会開催時の理事4名の半数2名の出席で充足していると判断し、原告の主張を棄却した

2.■議長資格問題  東京地裁  平26年2月13日
概要
①理事長が議長になるとの定めがありながら、理事長 以外の者が議長として会議の運営を行ったのは決議無効と訴訟した
②瑕疵は決議の無効をもたらすとは認められない

1.■理事会への理事の事故による代理出席の有効性訴訟 最二小判 平2年11月26日
概要
①理事会への理事の代理出席を認める旨定めた管理規約(理事に事故があり、理事会に出席できないときは、その配偶者または一親等の親族に限り可能)を有効判断

 

〇管理組合役員人事訴訟

3.■管理組合員の妻は非組合員で役員資格はなし 東京地裁立川支判 平28年4月18日
概要
①団地管理組合法人の組合員が、組合の総会決議は組合員資格を喪失した者(戸建92戸中、82戸が共有持分の一部を組合に譲渡した)が参加してなされたとして、 1)決議の無効、決議により選出された理事長等がその地位にないことの確認と、2)組合員の妻は非組合員で役員に選出される資格を欠き理事の地位にないことの確認等を求めた
②1)は棄却し、2)は認容された
③→控訴審(H28.9.28東京高判)で①が「却下」に変更された

2.■管理規約無効と選挙無効訴訟 東京地判 平27年11月30日
概要
①管理組合法人の組合員(原告)が、管理組合の規約の一部が無効であるとの確認、同規約に基づいて行われた本件選挙が無効であるとの確認、違法な役員選挙で原告の選挙権、被選挙権が侵害されたとして、損害賠償請求等を行った
②いずれも棄却された

1.■元12年間理事長が輪番制立候補を総会で否決され提訴 平19年7月25日  東京高判
概要
①12年間連続理事長を務め退任した元管理組合役員が、役員選出の細則(輪番制・立候補)により自身の選出区に立候補したものの総会で否決され、役員地位確認を求めて提訴した
②細則より規約の規定が優先されるとして棄却

 

〇理事長の利益相反行為訴訟

3.■建物修繕工事と利益相反行為訴訟 東京高判 平28年8月25日
概要
①管理組合が、原告の理事や理事長を務めていた被告Y1(塗装・防水工事会社C社の代表者)と監事を務めていた被告Y2(税理士でC社の監査役でもある)に対し管理組合が行った建物の修繕工事に関し利益相反行為を行い、善管注意義務違反及び誠実義務違反があるとして損害賠償を求めた
②いずれも棄却した原審(H28.2.26横浜地判)を支持した

2.■元理事長と監事に対する利益相反行為の賠償訴訟 東京地判 平28年2月26日
概要
①管理組合の理事や理事長を務めていた被告Y1(塗装・防水工事会社Cの代表者)と監事を務めていた被告Y2(税理士でCの監査役でもある)に対し、管理組合が行った建物の修繕工事に関し利益相反行為を行い、善管注意義務違反及び誠実義務違反があるとして損害賠償を求めた
②がいずれも棄却された(控訴審のH28.8.25東京高判も維持し控訴を棄却した)

1.■理事長の利益相反行為問題 平26年1月9日 東京地判
概要
①理事長が自らが代表を務める会社とコンサルタント契約を締結させ、コンサルタント料(34,000円/月)を支払わせたことは、不法行為(利益相反等)に該当するとして、管理組合(原告)が損害賠償を請求した
②所定の手続きを経ており違法性があるとまでは言えないとして棄却された

 

〇理事間訴訟等

3.■元副理事長が元理事長をいやがらせされたと訴訟 東京地判 平27年12月11日
概要
①管理組合の元副理事長が、元理事長から繰り返し嫌がらせ等を受けたとして、不法行為に基づく損害賠償等を請求
②棄却された原審(詳細不明)を不服として控訴したが、原審同様棄却された

2.■前理事長への管理費引き渡し訴訟 東京地判 平27年3月31日
概要
①管理組合が、被告Y1が理事長時代に徴収・管理していた管理費等の引渡請求を行い一部認容された
②Y1から購入した被告Y2(特定承継人)に対する滞納管理費等の支払い請求(Y1分+Y2分)を認容した

1.■役員手当、理事長手当との仕訳の相違は実質同じ 東京地判 平27年5月26日
概要
①理事長報酬(月額5万円)を10年以上受給した元理事長に対し、管理組合が不当利得返還(約600万円)請求した
②役員手当、理事長手当との仕訳の相違は実質同じとして請求を棄却した

(2審の東京高判H27.12.24も支持)

以上