マンション関係判例集(第十一歩)

開示・閲覧請求関係

7.■総会招集のための名簿閲覧請求は可能 平29年10月26日  東京地判
概要
①管理組合理事が、管理組合の修繕工事等の発注方法に不信を抱き、組合員の総会招集権を行使するために、他の組合員と連絡を取る目的で管理組合員名簿の閲覧を請求した
②名簿の閲覧の範囲を制限すべき事情は認められないと請求を全面的に認容

6.■管理組合の文書閲覧と写真撮影は規約になくても可能 平28年12月9日  大阪高判
概要
①管理規約に明文の定めがなくとも、各区分所有者は、民法645条(受任者による報告)に基づき、管理組合が管理業務について保管している文書(会計帳簿の裏付けとなる原資料等)の閲覧及び閲覧の際の文書の写真撮影を請求する権利を有する

5.■帳簿閲覧請求訴訟後の譲受者は利害関係者でない 平14年8月28日 東京高判
概要
①リゾートマンションの元区分所有者が管理組合役員の責任を追及するため、会計帳簿等の閲覧を管理組合に請求訴訟係属後に自己の区分所有権を譲渡した
②元の区分所有者は、規約上の利害関係人にあたらず、管理組合に対して会計帳簿の閲覧・謄写請求権を有しない

4.■会計帳簿等閲覧請求事件(本訴)、損害賠償請求事件(反訴) 平26年9月18日 東京地判
概要
①区分所有者(原告)が、管理組合(被告Y1)と理事長(被告Y2)が各文書の閲覧請求を拒絶したとして、管理組合に各文書の閲覧謄写を求めるとともに、理事長に対し原告の閲覧請求にかかる郵便物を受領拒否し返送したとして損害賠償を求めた(本訴)のに対し、
②管理組合が本訴提起が不法行為に当たると主張し、理事長が訴状における記載等が理事長の名誉を毀損するとして損害賠償を求めた(反訴)事案で、
③組合員名簿以外の文書については閲覧請求権を否定
④謄写については規定されておらず組合員に認められない
⑤理事長の受領拒否等は不法行為に当たる
⑥訴状における記載は理事長の名誉毀損に該当しないと判断した

3.■情報開示・閲覧請求 平26年1月10日 東京地判
概要
①区分所有者原告2名が、従前の管理者亡Eの相続人(被告Y)がEから管理者の地位を違法に承継したとして、委任終了(受託者Eの死亡)の通知書等の開示を相続人と管理組合に求めた。
②開示を求める資料が存在し、かつ両被告が所持しているとは認められないとして、棄却された

2.■管理費等収支報告開示請求事件 平28年4月15日 東京地判
概要
①ビルの区分所有者らが敷地を貸与して管理費に係る業務を行っている会社 被告に1)被告はビルの「管理者」に該当する 2)被告とはビルの管理等に関し委任契約等が成立している等として、民法645条(受任者による報告)に基づき各種会計資料等の開示を求めた
②1)は否定(集会決議で選任されていない)、2)は認め、管理費会計と修繕積立金収支計算書の開示義務を認めた

1.■管理者の業務文書の閲覧、書面報告請求 平4年5月22日 東京地判
概要
①区分所有者が、管理者に対して業務に関する文書の閲覧、書面による報告等を要求した事案
②管理者は個々の区分所有者に対して、個別の委任契約がない限り直接事務処理状況の報告をする義務を負うものではないとした。
(補償金に関する合意文書等の閲覧請求を棄却した)