『マンションへの散歩道 第六歩』

━「マンションへの散歩道」発行:マンションコンサルティング ━━━━━━━━━━

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アメリカ、フロリダ州マイアミ近郊で起きた12階建てマンションの崩落事故は、日本のマンションに住む我々にも大きな衝撃を与えた。亡くなった方々にはご冥福を祈ります。

そんな折、日本のマンションと海外の事情は異なるからと、アメリカ便りを執筆してくれる友人が現れた。今回はそのマンションの崩落事故を寄稿してくれた。

それでは、「マンションへの散歩道」の第六歩目を発信しますので御一読ください。(MCKK編集)

 

【1 岩見守和のマンション関連記事】

■マンション関連記事8月分

好評のマンション関係記事8月分をお届けします。

※記事内容(57ページ)

マンションの犯罪/マンションの事故/マンションの火災/マンションの防災/近隣問題(騒音)/近隣問題(喫煙、水漏れ等)/孤独死等/タワマン関係/マンションの修繕等/事故物件/団地関係/マンションの空き家問題/行政の動向等/マンションの管理問題/マンションの法律関係等/マンションのDX/マンションと都市問題/マンションの販売動向/業者の動向/海外/その他(岩見 守和)

【岩見】マンション関係記事_2021年8月.pdf

 

【2 マンションの安全と安心】

■ドアのカギはどうすれば?

平成に入ってから平成14年(2002年)まで、日本の侵入盗認知件数は右上がりに増加しました。それ以降は毎年件数が減っています。その主な原因は何でしょうか?

鍵をかけていない無施錠のためとガラス破りによるものはそれほど劇的に変化していないのですが、減少の一番の要因は錠と鍵の改良が行われたことでしょう。

施錠されているのに侵入されるケースで一番多かった手口は、錠を壊さず専用の工具を用いて解錠する「ピッキング」と呼ばれる方法でした。主に戸建て住宅が被害に遭いました。

これに対して国内の鍵メーカーが改良を重ね、2002年頃にはピッキングに強い錠と鍵が広く普及するようになり、ピッキングが大幅に減りました。改良された錠のうち、代表的なのは鍵穴が水平で波型形状になっているものです。

 

共用部の廊下があるマンションの場合、犯罪者が体を隠すことができないのでピッキング被害には遭いにくいのですが、居住者が不在であることがあらかじめ分かっている場合は人気のない深夜にピッキングによって専有部に侵入されるリスクがあります。

2002年以前に建てられたマンションでは、最初に取り付けられたピッキングに弱い錠が今でもそのまま使われていることがあります。どういう錠が弱いのか、一概に言うことはできませんが、大雑把な言い方をすると、鍵穴が縦(上下方向)で、くの字型あるいは直線状で徳利型のものの中にはリスクの高い錠があります。

自宅の錠が安全かどうか心配な場合は、ネットで「危険な鍵」などのキーワードで検索すると確認できます。安全でないとわかったら、管理会社の専門家か近所の鍵屋さんに相談しましょう。(Yahosan)

 

【3 マンションと法】

前回の記事の最後では、これからの連載では、認定基準(案)を参考にして、「資産価値のあるマンションになる」ということを意識していきたいことをお伝えしました。

ただ、認定基準(案)とは何かという肝心な話をお伝えできませんでしたので、もう少し前置きにお付き合いください。

令和3年6月14日付け「マンションの管理の適正化の推進を図るための基本的な方針(案)」に関する意見公募(パブリックコメント)において、認定基準(案)が明らかとなりました。

この認定基準(案)では次の各項目に沿って、認定基準(案)の具体的内容が定められています。

①管理組合の運営

②管理規約

③管理組合の経理

④長期修繕計画の作成及び見直し等

そして、各項目の具体的内容の一部をご紹介すると、次のとおりです。

・集会が年1回以上開催されていること

・管理規約が作成されていること

・管理費及び修繕積立金等について明確に区分して経理が行われていること

・長期修繕計画が「長期修繕計画標準様式」に準拠し作成され、長期修繕計画の内容及びこれに基づき算定された修繕積立金額について集会にて決議されていること

皆さんがお住いのマンションでは、上記基準は満たしておられるでしょうか。満たしているから大丈夫とは限りませんが、反対に、満たしていないという場合には現状の管理水準を見直す必要があろうかと思います。管理組合が管理計画の認定を申請するかどうかにかかわらず、今後、上記基準は、マンションの管理水準の維持向上を図る上で参考になると考えられます。

ということで、認定基準(案)の具体的内容についてもお伝えすることができましたので、次回からは、上記認定基準(案)を参考にして、資産価値のあるマンションになるという視点から、マンション問題をみていきたいと思います。(豊田 秀一)

 

【4 アメリカ便り】

初めまして。この度、ご縁を頂いて投稿させて頂く事になりました谷景太です。米国テキサス州ダラスにエンジニアとして25年在住。ここから見た視点で個人的に気になる事を発信しています。今回、このマンション崩落事故について少しずつ情報を集めてみました。

去る2021年6月24日にアメリカ合衆国フロリダ州マイアミ近郊のサーフサイドで12階建てのコンドミニアム「チャンプレイン・タワーズ・サウス」が崩落し多くの犠牲者が出た。動画ニュースでその崩れ落ちる様子を見た時に、よく見るビル解体の時の崩れ方に似ているなと思い、興味を持って少しこの件に関して書かれた記事を検索して見た。その中で、カサンドラ・ストラトン(以下キャシー)という一見ハリウッドスターのような女性が被害者として取り上げられていた記事が目を引いた。事故後に彼女の遺体確認に関して多くのメディアが取り上げていたので、なぜ彼女の事が話題になっていたのかその背景を少し掘り下げてみることにした。

先ず最初に取り上げる記事は、事故から二日後の6月26日付のYahooニュース 。(1) これによると、キャシーは、事故当時崩壊した建物の4階に住んでおり、同夜バルコニーから彼女の夫に電話をしていた際にこの崩壊事故に遭遇した。彼女の姉のアシュリーの話はこうだ。

キャシーは、突然彼に「ねえあなた、プールがへこんでいるわよ。プールが地面に沈んで行くわ!」と話した。「一体、何の話をしてるんだい?」と彼。キャシーは続けて「地面が揺れてる!  全部揺れてるのっ!」そして彼女の叫び声と共に電話回線が途切れた。それから二日後、彼女は不明者の159人のうちの一人となっている。

そして、6月30日にCNNニュースのアンカーを務めるアンダーソン・クーパー氏がツイッターでインタビュー動画を投稿した。(2) これは同社が犠牲者キャシーの姉にインタビューしたもの。先のYahooニュースと同様の証言をしている。ここで、気になったのがプールが沈むという表現だ。最近、都内でも突然の道路陥没による被害があったが、同様のケースなのであろうか?

実際に崩落した現場がどの様なものなのか、DailyMail.comの記事(3)で崩壊現場の上空写真を事故前後で比較したものを検索することができた。この比較画像は解像度が高いとは言えないが、崩落した建物のすぐ横にひとつプールを確認することができた。しかし、崩落後のそれを見てもプールが沈み込んでしまっているようには見えなかった。また、素人の私には陥落穴とわかるものは見えなかった。

アシュリーによるとキャシーから色々な水漏れの問題についてや、彼女の部屋の上即ち屋根にいた人たちと重い装置について聞いていたとのこと。先のYahooニュースによると、このコンドミニアムは2015年に建物のオーナーに対して外壁などの修理の過失の件で訴訟の対象になっていた。しかし、これが崩落に影響しているのかどうかは不明であるとしている。

2ヶ月以上経過した今、ネットではWikipediaを始めこの崩落事故に関しての様々な記事が投稿されてきている。今後、視点の違う記事なども紹介していきたい。追記:7月12日付のデンバーポスト紙(4)によるとキャシーの夫のストラトン氏が、彼女の遺体は同月11日に確認されたと語ったとのこと。(谷 景太)

 

参照記事:

 

 

【5 管理会社の進化】

『岩見守和のマンション関系記事』を読んでいると、管理会社が大きく舵を切っていることが見えてくる。

背景は「適正化法の改正」である。この改正で、将来にわたり管理会社がコミットできるビジネス領域が飛躍的に拡大するからである。

長らく、マンション管理会社の業務は労働集約的で、生産効率を上げることが困難な側面が多く、マンションの2つの老い(建物の老い、住人の老い)、プラス、管理会社の1つの老い(=労働力の老い)の課題解決の道筋が見えなかった。しかし、この改正で、一気に将来の方向性が明確になったのである。そして、時代の波であるDX化と相まって課題解決を一気に進めることができるようになった。特に大手と言われる管理会社の取り組みはすごい。

記事から読み取ると、今の取り組みは大きく5つあると思われる。

  • 管理会社自体の負担を軽減すること
  • マンションの住人向けのサービスを充実させること
  • 管理組合の資金サポート体制を構築すること
  • 安全・安心の防災サービスを提供すること
  • 再生のためのビジネスモデルを構築すること

これらの取り組みは、結果として管理組合へのサービス向上につながり、住人の生活環境も大きく変えることになる。更には、中小の管理会社や関連する業種にも様々な影響を与え、業界全体の活性化につながるであろう。

民間企業のたくましさを感じる。

ただ、ここから先は企業間競争であり、どれほど社会に受け入れられる会社に進化できるかが問題となる。

そして、残された課題はこれらのサービスを享受できない管理組合である。

いずれにせよ、頑張れ!管理会社!(澤 與志博)

 

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