アメリカ便り(第三十六歩)

■「正論で行こう!」
ダラスもようやく暖かい日が続き、先週末に訪れた近場の湖畔の木々も少しずつ新芽を出してきました。淡い色彩感が日ごろのストレスを癒してくれています。

こんにちは。皆さんいかがお過ごしでしょうか?

以前にもお伝えしたと思いますが私はダラスにある半導体工場に製造技術エンジニアとして勤務しています。昨年から分かっていたことなのですが、今年に入って工場もスローペースになってきています。間接業務の人手も余ってしまうため有給休暇も奨励されています。

聞けば競合他社も同様とのこと。いまだに世界中で半導体不足が理由で自動車や電子機器の製造が停滞している中、半導体チップメーカーは手綱を緩めコスト抑制に努める動きになっているわけです。

会社経営しているわけではないのでよくわかりませんが、素人的にはもっと半導体チップ作ってどんどん買ってもらった方が世の中にとってよいのではと思ってしまいます。
ですが、どうもそのようなことにはならないようです。でもこれって一体どうしてなのでしょうか? むむむ。心の中で常に真実探求隊が発動してる変な私です。(笑)

(写真:先日のダラス。ケムトレイルでいっぱい。いったい、何を撒いているのやら。。。あなたの街の空はどうですか?)

さて、この半導体業界の波。この背景には諸説あるようですが、やはり需要と供給の間にある“神の見えざる手”なのかもしれません。
いわゆる供給過多による価格下落を避けたい供給側の立場がとる自然現象的な流れ。

供給律速の市場では、供給する側が有利。そのポジションをいつまでも保ちたいと思うのは自然でしょうし、それを続けられるように動くのも当然だと思います。
まあそれなら仕方ありませんね。

昔なら大手企業が市場獲得するために赤字を見越して格安で売り出すということもあったかもしれませんが、日本の半導体企業は既にポジションを失っていますし、欧米企業はそのようなレッドオーシャンを好まない傾向にあると思います。

いずれにせよ市場が停滞する状況になるとその後の展開はどうなるのでしょうか? 得てして優良企業は開発に投資して次の波に乗り勝とうとする場合もあります。

そんな中、なんと下記記事によれば米政府が半導体メーカーを対象とした数十億ドル規模の補助金を計画しており、3月末までに発表することを目指しているとのことです。

BLOOMBERG Ian King、Mackenzie Hawkins 2024年1月28日 13:36 JST 更新日時 2024年1月28日 15:03 JST
米国、新たな半導体補助金計画-3月末までに発表目指す

いや~、それ自体は良い事と思いますが、どこの会社に出すのか?その選定基準は何なのか?気になるところです。
今のところ、インテル、TSMC、サムソンが受け取り側の候補になっているようです。
あれ? TSMCって日本政府からも意味不明の巨額な援助が出てますよね。
こちらの記事によると一般企業に1.2兆円の補助金!
台湾TSMCが熊本県に工場を開所 政府は1.2兆円の補助金投入 半導体産業復活へ大きく舵を切る日本政府 | TBS NEWS DIG

熊本のTSMC特需で現地が潤うだけならいいですが、なかなかそううまくはいってないような話もあちこちで出ているようです。
こちらは私の推してるもえさんの著書。「光と影のTSMC誘致」
https://www.amazon.co.jp/光と影のTSMC誘致

紹介文から一部抜粋させてもらうと、
「日本やアメリカは環境を守るために利益を犠牲にし、台湾の半導体製造業をはじめとする企業は利益を優先した。そのため、台湾は河川の約25%、農地の約5%を重度の汚染で失った。人工透析率は人口比で世界首位、肺がん率は北朝鮮に次いでアジア第2位である。中国のTSMC工場の周辺住民すら、TSMC建設反対運動を行うくらい酷い有り様だ。」
ということで、今後の現地住民の生活や周辺の環境などについては大注目すべきなところだと思います。でも、どうせ補助金を出すのなら日本政府は日本の半導体企業に出すのが正論なのではないでしょうか?

正論が通るようなら苦労しないという方もいらっしゃるとは思いますが、アメリカでは、DO THE RIGHT THING ― 正しいことを行いなさい。とよく目にします。
全くそのとおりです。エンジニアの仕事をしていても毎日がそれの積み重ねです。誰もが納得するようなデータをもとに話す。決して間違ったことはしない。

政府の半導体企業への投資について語るならエルピーダ社の件は避けて通れないかもしれません。

その昔、落ち目だった日本半導体企業の最後の砦だったエルピーダメモリになぜ政府は援助しなかったのでしょうか?今回のような援助があればもっと早いうちから日本の半導体業界が盛り上がったかもしれません。当時のエルピーダ社長坂本幸雄氏の著書 「不本意な敗戦: エルピーダの戦い」 では、当時のご体験を中心に記述されています。

この本も読み進めていくと、当時エルピーダに救いの手を伸ばそうとしていた米マイクロン社CEOのスティーブ・アップルトン氏(当時51歳)の突然の飛行機事故という大きな謎が生まれてきます。
https://www.bloomberg.co.jp/news/articles/2012-02-04/LYTZXP6S972B01
これによって望みを絶たれ、政府にも見放され結局米マイクロン社に買収されることになりました。

その昔、まだ私が駆け出しのころ、実は坂本さんの下で仕事をした経験があり、その際には沢山迷惑かけてしまった思い出がありますが、先月惜しくも亡くなられました。ここにご冥福をお祈り申し上げます。

さて、最後になりましたが、アメリカでは今年は大統領選挙の年です。
いよいよスーパーチューズデーのある3月。各党内の候補指名獲得競争がどのようなけっかになるのでしょうか?共和党内で2位を争っていたロン・デサンティス氏は先月次期立候補から撤退することになり、反トランプ色を打ち出している共和党でサウスカロライナ州知事現職のニッキー・ヘイリーは立候補しているままなので、彼女とトランプの対決に絞られたようです。今後の動向に目が離せません。というか、トランプ氏の快進撃に民主党が断末魔のおかしな行動をしないことを祈ってます。年内は日本の地震も心配。どうぞ備蓄を。

追記

以下は、注目している最近のニュース:
2024年2月 26日 ジェイコブ・ロスチャイルド没。この17か月前の2022年9月8日に、エリザベス2世女王陛下没。そして、更にこの17か月前の2021年4月9日にフィリップ殿下没。17か月後は来年の7月。

ゲイツ財団、バフェット、ザッカーバーグ氏の大量株売却。- 米アマゾン創業者ジェフ・ベゾスはこの1ヶ月の間に、自社の株を5000万株、85億ドル相当(約1兆2800億円)を売却。また、JPモルガン・チェイスのジェイミー・ダイモンCEOとその家族は2月22日、約82万2000株、1億5000万ドル(約226億円)相当を売却。ダイモンCEOがJPモルガン株を売却するのは、18年前のトップ就任以来初めて。その他、ウォーレン・バフェットやジョージ・ソロス、ビル・ゲイツ、マーク・ザッカーバーグといった投資家たちも、持ち株を手放しているとの情報がネット上で飛び交っています。

先日、アメリカIT大手「メタ」のマーク・ザッカーバーグCEOが“極秘来日”。報道によれば岸田首相と人工知能AIの未来についての話をしたそうです。7月のマイナンバーアプリのリリース前の打ち合わせ?日本のAI企業がメタに買われるかも?フェイスブックは個人情報だらけですから参考になりますね。

日経株価が史上最高値を更新 - ちまたでは青天井というカクテルの売れ行きがよいらしい。これで失われた30年が戻るわけない。 ウォーレンバフェットは日本へ投資
米国の赤い州と青い州で差が出てきそう ― 各州のダウンタウンなど大都市圏は民主党サポーターが多いのが典型的ですが、カリフォルニア、シカゴ、サンフランシスコ、アトランタなど民主権の州や大都市ではビルの空き室率が急上昇。治安も悪化。中国移民の大量増加。万引き950ドルまではおとがめなしのため、商業は撤退。バイデン政権の汚職が次々に明るみに出てきています。
(米テキサス 谷 景太)