マンション関係判例集(第十四歩)

■総会決議無効等訴訟

23.■2名のみ所有する建物の管理組合集会を一人だけ招集 平17年10月27日  東京地判
概要
①原告と被告の2名のみが区分所有する建物につき、議決権の60%を持つ被告が招集し、被告のみ賛成した管理組合集会決議の有効性
②法39条の議決要件(区分所有者と議決権の過半数)を満たしておらず無効

22.■高圧受電方式への変更の際の個別電力供給契約の解約 平31年3月5日  最三小判
概要
①団地建物所有者等に対してその専有部分の電力供給契約の解約申入れを義務付ける旨の集会決議がされた場合において、団地建物所有者が上記解約申入れをしないことが他の団地建物所有者に対する不法行為を構成しない
②(組合の決議や細則で現在の契約の解除を義務付けられない)と判断

21.■託児所施設の運営赤字分補填の補助金決議効力 最二小判 平28年7月1日
概要
①分譲時に売主が用意した託児所施設の運営赤字分の補填のため、「補助金」名目での支出を「規約外事項」として、過半数決議で認めた総会決議の効力
②無効(管理規約違反)とした東京高判H28.1.28を支持し上告を棄却した

20.■託児所施設の運営赤字分補填補助金承認決議の有効性 東京高判 平28年1月28日
概要
①分譲時に売主が用意した託児所施設の運営赤字分の補填のため、「補助金」名目での支出を「規約外事項」として過半数決議で認めた総会決議
②無効(管理規約違反)としたH27.8.27東京地判を逆転し、
③H28.7.1最二小判も支持(上告棄却)した

19.■マンション内託児所経営運営補助費等の管理費支出決議 東京地判平27年8月27日
概要
①区分所有者が管理組合が総会で、マンション内の託児所経営のための運営補助費と、水道光熱費等を管理費から支出する議案を決議したことは規約に違反し無効であるとの確認請求と、決議を成立させた理事長に対する解任請求を行った
②託児所において、業者に委託してチャイルドケアサービスを提供することは管理行為の一種と認定し、組合員が負担する額も456円/月と軽微であるとし、一部却下(理事長解任)、一部棄却(決議無効等)した
→H28.1.28東京高判で逆転

18.■競売訴訟決議総会通知の集合ポスト投函の有効性訴訟 東京地判 平28年7月29日
概要
①区分所有者(被告)が有する区分所有権等の競売請求訴訟提起に係る総会決議の議案書を、管理組合(原告)が集合ポストに投函したが、被告は、受け取りに行っておらず受け取っていないと主張した
②総会の通知については集合ポストに議案書を投函することでも足りるとして、競売請求を認容した

17.■議事録作成と総会決議の効力 東京地判 平26年7月10日
概要
①議事録が適法に作成されていなくても、(罰則はあるが)決議自体の効力が否定されるわけではない
②外壁、屋上防水、給排水管(2管式排水システムから単管式排水システムへの変更)等について行う通常の大規模修繕工事について、金額が大きくても、集会の特別決議ではなく、普通決議で決められる
③として原告(区分所有者)の請求を棄却した

16.■総会招集通知書の瑕疵が軽微な場合の決議無効訴訟 東京地判 平26年9月9日
概要
①総会招集通知の瑕疵が軽微であって、しかもその瑕疵があったことが決議の結果に影響を及ぼさないことが明らかであるなど場合には、決議の無効を主張できない旨判示

 15.■総会開催日誤記載議案書の効果 平26年5月13日  東京地判
概要
①招集通知とともに送付された議案書に総会の開催日が誤記載に対する訴訟
②決議の効力を肯定(決議の無効を主張できない)

14.■総会議事録作成手続きと総会決議の有効性 福岡簡判 平27年5月19日
概要
①総会の議事録が区分法または規約にのっといて作成されていないとしても、
②総会の手続きに瑕疵がなければ、総会の決議の有効性に影響することはない

 13.■区分所有者である生協の理事選任と居住要件訴訟 東京地判 平28年4月26日
概要
①複合用途型マンション(B)の区分所有者が、管理組合に対し、区分所有者である生活協同組合A(法人)を理事として選任した総会決議は、管理規約(居住要件)に反するとして、決議とAの理事選任の無効確認を求めた
②生協によるマンションの利用態様は「居住」と同旨することができるとして棄却
③→控訴審のH28.11.10東京高判も支持した

12.■不在居住店舗所有者の総会参加資格訴訟 東京地判 平27年10月22日
概要
①複合型マンションで、原告(1,2階の店舗部分を全て所有)が管理組合と管理会社を被告として、原告を除外した輪番表を総会に提出して役員選出対象から除外したことは不法行為に該当するとして損害賠償請求した
②管理規約に基づき不在居住者(テナント全てを賃貸)である原告を除外したことは許されるとして棄却した
③複合型管理規約を作成すべきであった、とする原告主張を否定した

 11.■管理組合総会決議無効確認等請求事件 平26年11月27日
概要
①地判 て原告(組合員)を含む9名が立候補したが、理事長Aから8名を役員に選任する趣旨が報告され、原告が出席者過半数の承認により落選となったが、その決議が無効である(規約上、役員定員は8名でなく9名)ことの確認を原告が請求した
②決議は、役員定数(9名)に反するものであるとして、原告の請求を容認した(役員に立候補した組合員である原告の権利を侵害したと判示)

 10.■総会議案書配布で名誉棄損訴訟 東京地判 平28年3月22日
概要
①輪番の役員候補者である区分所有者が、管理組合に対し、総会において、1)総会決議を経ることなく一括信任方式に代えて個別不信任方式を採用したことは規約違反であり、2)原告の特記事項欄に原告に不利な付記をして、原告を不信任とするよう誘導したことは、名誉毀損等不法行為であると主張した
②棄却された

9.■修繕積立金の返金臨時総会決議無効確認請求 福岡地裁小倉支判 平28年1月18日
概要
①管理組合が臨時総会で行った「修繕積立金の一部を取り崩し居住年数に応じて特例として返金する総会決議及び同決議により実施された返金を追認する総会決議」は、利害の衡平性を著しく害する(原則として専有部分の床面積割合で取り扱われるべきである)ことから公序良俗(民法90条)に反するとして、区分所有者の無効確認請求
②認容した
③最二小判 H15年4月11日判決は、入会地の売却代金債権の帰属に関する)を引用して、「権利能力なき社団たる管理組合が存続する限りは、予め修繕積立金の取り崩し・分配・返金等の清算方法が規約等に定められる等の特段の事情がない限り、団体が総有的に保有する財産として取扱われる」

8.■管理組合総会決議有効確認請求本訴事件 東京地判 平27年1月16日
概要
①管理組合(原告)が、床面積割合で議決権の1/4超を有する2名の区分所有者(被告)の管理費支払義務を定める規約の変更を行った総会決議の有効確認を求めた
②区分所有者(被告)側からは、当該決議の不存在確認を求めて争った裁判
③被告側の議決権割合が1/4を超えている状況下では、被告側が反対したことにより3/4以上の特別多数決議をされたとは言えないことから、本件決議は可決しておらず、
④現行規約の変更部分(区分法38条の床面積割合方式を1戸1議決権方式に変更)は無効であると認定した

7.■耐震診断・大規模修繕等再生諮問会議不在確認請求事件 東京地判 平27年4月28日
概要
①管理組合総会における耐震・大規模修繕等諮問会議設置の決議(普通決議)は「規約の変更」に該当するとして無効であるとの区分所有者(原告)の確認請求
②棄却された(同会議は意思決定機関でなく意見を具申する機関に過ぎない)

6.■マリンヒル横須賀野比管理組合解散決議無効確認等請 東京高判 平28年4月13日
概要
①土地所有者により構成される管理組合の監事が、理事長に、同団体の解散決議には瑕疵があり違法であるとして、無効であることの確認を求めた
②理事長には被告適格が認められない(理事長が当然に業務執行権を付与される建前になっていない)として訴えを却下した原判決(H27.11.20横浜地裁横須賀支判)
③不服とした控訴が棄却された

 5.■管理組合解散決議無効確認等請求事件 横浜地裁横須賀支判 平27年11月20日
概要
①土地所有者により構成される管理組合の監事であった原告が、理事長であった被告に対して、同団体の解散決議には瑕疵があり違法であるとして、無効であることの確認を求めた
②被告には被告適格が認められない(理事長が当然に業務執行権を付与される建前になっていない)として訴えが却下された ※マリンヒル横須賀野比管理組合解散決議無効確認等請求事件
③→控訴審(H28.4.13東京高判)も支持した

4.■団体解散請求事件 東京地判 平26年11月26日
概要
①管理組合法人(被告)の解散後誕生したと自称する団体の代表者(原告)が、建替え決議が成立し、反対者を売渡請求を行って管理組合から排除した段階で管理組合法人(被告)は消滅したとして、被告に対しその解散と金銭・書類等の自団体への引渡しを請求した
②請求を棄却した

3.■被災マンション敷地売却決議集会の有効性訴訟 仙台地判 平27年9月28日
概要
①地東日本大震災で被災し建物を解体した後の、被災マンション法上の「敷地売却決議」を行った集会の有効性訴訟 サニーハイツ高砂事件
②同法が定める議案の要領を充足せず(集会の招集通知に議題、議案の要領、売却の必要性等を不記載)、当該瑕疵は軽微とはいえないとして同決議を無効と判断

2.■マンション上下部屋間階段撤去とインターホン設置承認請求 東京地判平28年2月24日
概要
①1階フロアと2階フロアをA社から購入した区分所有者が、購入時に両フロア間の階段が撤去されたことから両階の往来を容易にするため2階フロアにインターホンを設置するなどの承認を求めたが臨時総会で否決されたとして、管理組合が拒絶
②ある総会欠席者の議決権行使書は賛成に扱うべきとして、原告工事の承認請求を認容した(管理組合や元理事長の不法行為については否定した)

 1.■集会決議無効確認等請求事件 東京地判 平27年6月25日
概要
①被告管理組合の元理事であった原告らが、1)被告組合の規約変更決議  2)被告Y等の理事選任決議 3)原告を理事から解任した決議等の無効等の請求を求めた
②いずれも却下・棄却された

以上