特別寄稿(マンション管理士 渡邉元)
マンション管理士による第三者管理者について
マンション管理士 渡邉 元
1. 第三者管理の基礎知識
昨今、管理会社による第三者管理が話題になっています。そこで、マンションの第三者管理についての説明を説明していきたいと思います。国土交通省のマンションの外部専門家の活用に関するワーキンググループが結成され有識者の議論がなされていますが、そこでの議論の中心はこの管理会社による第三者管理が中心のようです。
住宅:外部専門家等の活用のあり方に関するワーキンググループ – 国土交通省 (mlit.go.jp)
マンションの第三者管理とは、マンションの区分所有者以外の者がマンションの管理者としての業務を行うことです。マンションの基本法ともいうべき区分所有法を根拠にしています。
マンションの第三者管理には、第三者を外部理事に選任し、理事会が理事長やマンションの管理者に選任する方式(外部理事選任型)や理事長が理事会の承認を得て、理事長の補佐役として第三者に管理者業務を委託する方式(理事長補佐型)と、理事会・理事長を廃止し、総会が第三者を管理者に選任する方式(第三者管理者型/総会監督型)があります。
管理会社はマンション管理の主体となる区分所有者で構成する管理組合から委託を受けてマンション管理の実務を行うもので、管理方針・方法などを決定することはできません。
それに対し、マンションの管理者は管理方針・方法を決定できます(区分所有法26条)。
標準管理規約では、理事長を管理者にしていますが、規約で変更することができます。(標準管理規約第38条)
このような強い権限を与えるのですから、総会の決議や管理規約に特別な条項が必要です。
区分所有法には管理者の資格に制限はないので、弁護士やマンション管理士などの専門家でなくても誰でもなれます。個人だけでなく法人が管理者になることができます。
この規定により、法人である管理会社や管理会社の従業員がマンションの管理者に就任できるのです。
なぜ今マンションの第三者管理が注目されているのでしょうか。
それは、マンションの経年化が進み、管理組合役員のなり手不足などの諸問題が顕在化したからです。
また、マンション管理の技術が発展し、それらの新たな技術を駆使して質の高い優良で快適なマンション生活を営むためには、日々進化する技術の情報を収集して、修繕などを実施する必要があります。そのためには、知識・経験のない区分所有者だけで行うことは困難になってきているからです。
昨今の物価の高騰が管理費用や修繕費用の高騰化を招き、管理会社から委託管理費の値上げを提案され、それを拒否すると、代替策として管理会社側から第三者管理を提示される場合もあるようです。
それではなぜ管理会社が第三者管理者になろうとするのでしょうか。
それは、管理会社が単なる管理業務の受託会社としてより、より権限の強力な第三者管理者への就任を望んでいるからです。
具体的にいくつか理由を述べます。
第1は受託者としての業務を軽減化し、人件費などのコストを軽減化したいからです。
管理組合の受託業務として管理組合(理事会)補佐業務がありますが、これは多大の時間・経費を必要とします。単純に考えても定例の理事会に出席し、議案を提案し、議事録原案を作成するだけでも大変な業務量です。第三者管理者方式にして理事会を廃止することにより、これらの業務をなくすことにより。フロントの担当マンション数を増やすことができ、結果的に2-3割の経費削減が可能といわれています。
第2に、フロント担当社員や管理員などは、理事などの役員や区分所有者との対応業務中、ハラスメントと認定されうる行為を受ける場合が多々あります。フロント担当者の離職の多くの原因を占めています。その原因の一つを除去したいからです。一般にマンション管理会社は社員の離職率の高い会社といわれています。
第3に、管理会社は適正化法上多種にわたる規制を受けますが、区分所有法を根拠とする管理者はこの制限を受けないと考えることが可能です。管理者は管理組合内部の立場なので、外部の管理業務を受託する管理会社を規制することを主な目的とし成立した適正化法の適用は受けないと考えるからです。(もちろん適正化法の規制を受けるという学説もありますが、国土交通省も適正化法の予想するところではないといっており、現状で明確な基準はありません。)
その結果、第三者管理者就任に必要な管理業務委託契約書の作成もなされず、適正化法によって義務化された管理業務主任者による重要事項説明も必要なくなります。国土交通省が行った実態調査によると、調査数自体は少ないですが、第三者管理者を行った管理組合の5割強が管理業務委託契約書を作成していないと回答しています。
第4にマンション管理に係る修繕などの工事を独占できる可能性が高まるからです。
管理者がこれらの工事の発注権限を持っていますから、理事会が廃止され、その監督を受けない第三者管理者は自由に施行業者などを選定できます。そして管理会社そのものや系列の施行会社にその業務を発注し利益を独占できるからです。将来的な利益は莫大なものになると容易に想像できます。
2. 管理会社による第三者管理
それでは管理会社が第三者管理者に選任される場合、問題はないのでしょうか。
そもそもマンション管理会社は、管理組合の委託を受け管理実務を行うことで利益を得る会社です。そこには管理組合との間で利益相反の関係があります。
第三者管理者は権限が強いので、この利益相反のリスクが大きくなります。そこで、この利益相反をどのように回避するかが問題となります。
特に第三者管理者型の第三者管理方式では日常の管理者の実務の執行を監督する機関である理事会自体がなくなるのでより注意が必要です。
この問題に関する解決策は、現状では法令による明確な基準がなく、各管理組合が独自で策定する必要があります。
この問題を回避する方法として、監事によるチェックを強化する方法があります。
区分所有法では、管理者の他、監事を区分所有者の中から選任し、管理者を監督することが可能です。これは、区分所有法上の管理組合法人の規定を法人格のない管理組合にも適用しようというものです。
このようにすると、ある程度リスクを避けることはできますが、マンション管理の専門家である管理業者を素人の区分所有者が(少数で)監督することは可能であるか疑問です。
また、菅野組合の理事など役員のなり手不足の中で、権限が強化され、実務の増加も予想される監事のなり手がいるかどうか疑問でもあります。
そこで、マンション管理士などの専門家を監事に選任して、第三者管理者である管理会社を監督しようとすることが考えられます。しかしながら、これらの専門家を派遣・紹介する公的な制度は現状ないので、管理組合が独自に専門家を探して依頼することが必要です。マンション管理センターなど公的な機関でこのような制度を早期に創設されることが望まれます。
管理会社が第三者管理者になった場合の具体的問題は次のとおりです。
区分所有法上、管理組合の理事長とは異なり、管理者は法人でもなれます。
ということは、マンション管理の実務を管理会社が行う場合、委託者の管理組合の管理者たる管理会社が管理実務を委託し、受託するという関係になります。
これは自己取引になり、通常の法人では許されません。その場合は監事などの他の役員が団体を代表して契約することになります。
ところが、管理組合の大多数は法人ではありません。権利能力なき社団として法的地位を認められる場合が多く、この場合は管理規約に従い理事長が代表者として契約します。
理事会が廃止されている状態では運営組織が確立しておらず、法的に権利能力なき社団として認められるか厳しいです。
となると理事長が廃止されている管理組合が外部と契約する場合はだれがするのかという問題が生じます。銀行口座さえ作れないという事態も考えられます。
管理者は建物・敷地の管理者でしかなく、団体の代表者ではありません。
おそらく管理規約を改正し、代表者をさだめて契約することになるでしょう。
管理者が管理組合を代表するという管理規約の定めがあっても、自己取引の問題は解決しません。管理規約に自己取引や利益相反の場合には監事が管理組合を代表するという規定も必要になるでしょう。
このような規約がない場合には、管理者が管理者として外部の者と契約した場合はすべて無効になる危険性が生じます。もちろん、相手方が善意の第三者の場合は保護されますが。(
区分所有法26条3項)
また、適正化法には管理会社に対し、管理組合を保護するため様々な規定が存在します。
管理業務中での基幹業務とされる会計・出納・修繕の調整業務を同時に受託する場合は、国土交通省に登録された管理会社でなければなりません。また、基本となる管理業務委託契約書を締結する場合は、国家資格である管理業務主任者が定められた重要事項の事前説明を区分所有者に行い、管理業務委託契約書に署名(記名・捺印)しなければならないなどです。
それでは、管理会社が第三者管理者としてこれらの業務を自ら行う場合はこれらの規定は適用されないのでしょうか。現在では、この点は明確ではありません。実務上は第三者管理者に就任する場合には、総会の選任決議以外に特別な手続きは必要なく、業務委託契約書も作成されていないケースが5割を超えるという実態調査もあります。
極端に言えば、非登録業者でもあっても、第三者管理者になれば、基幹業務を含めたマンション管理業務を行って利益を得るという脱法行為が許されるということにもなりかねません。
早期の対応が望まれます。
第2は、利益相反の問題をどう解決するかです。
前述したように、管理者の権限が強いので、管理会社が自己または系列会社の利益のために管理組合の利益を犠牲にする可能性が高くなることです。
第3に、管理会社の都合で辞任する場合や区分所有者の意思で解任させる場合で、どのように処理するかが大きな問題になります。
退任時には、理事会・理事長は存在しませんので、その段階では5分の1以上の議決権を持つ区分所有者が、総会を自ら開催して新管理者を選任するしかありません。実質的に困難な場合が多いと思います。
まして、管理規約を再度改正して、理事会・理事長を復活するのは実質上無理といっても過言ではないと思います。
このことは一度管理会社を第三者管理者に選任すると、管理会社は未来永劫にその管理組合から利益を得続けることが可能ということを意味します。
このように管理会社による第三者管理については、様々な問題があります。
とはいえ、管理会社による第三者管理が急激に増加しているのも事実です。
第三者管理には、多くの利点があり、それが現在のマンションを取り巻く状態にマッチしているからです。
専門家による管理が、素人の区分所有者による管理よりも、マンションの状態を維持・向上させ居住者の利益になるのは当然ですし、その結果、管理コストを減少させ、管理費の価格上昇を抑えられるのも事実です。不法・不当な行為が起こりやすいというリスクを考えなければ、ある意味理想的なマンション管理方法です。
ということは、管理会社による第三者管理自体を禁止するのではなく、それを認めたうえでどのようにリスクを減少していくかを考えるべきでしょう。
国土交通省の専門家活用ワーキングチームで議論されているのもこの方向に向かいつつあります。
国家が行うので、リスク軽減策の法制化が実施されるのは、あと数年はかかるでしょう。
しかしながら、現在の物価高に伴う急激な管理費用の上昇や役員のなり手不足は、国家の改善策の実施を待っていられない状況です。
ということは、今、必要に駆られて第三者管理者方式を導入するには、管理組合自体でそのリスクを防止しなければならないのです。すなわち、国家が規制しようという事項を先取りする必要があります。
それでは、現行法制下でどのようなリスク軽減化ができるでしょうか。
ここで一番大切なことは、第三者管理方式を導入される場合は、管理組合だけで決めるのではなくマンション管理に精通した管理会社以外の者の助力を得ることです。
現行法や法の趣旨に精通しなければ、適切なリスク軽減策を作ることはできませんし、将来国家の軽減策が法制化された場合に、それに適合する方策でなければなりません。そのためには、最新の動向などの情報も得ておく必要があります。世の中には、専門家とされるマンション管理士や弁護士以外にも、管理組合ネットワークなど管理組合の団体やNPOも多数あります。それらの助力を得ることは必須だと思います。
管理会社による第三者管理者方式を導入する際の具体的なリスク軽減策について述べます。
軽減策の第一は、会計・出納の「ミエルカ」です。
会計・出納情報が即時にわかれば、第三者管理者が不正・不当な行為を行っても、区分所有者はその事実を即時に把握でき、対策もできます。
大手の管理会社は、巨額の開発・維持費をかけて独自の会計・出納処理システムを持っています。しかしながら、このシステムは公開されていません。すなわち顧客である管理組合でもそのシステム(データベース)から直接自己のマンションの情報を引き出せず、管理会社の社員に情報提供を頼むしかありません。このことは、管理会社にある情報を得ようとした場合、管理会社の社員が加工した情報しか得られず、また適切な時期に必要な情報を得られないことを意味します。
現在では、このマンション管理システムを独自で開発し、公開している会社があります。
本来は自主管理用に開発されたシステムですが、小規模の管理会社では利用しているところもあります。
管理会社が第三者管理者方式を提案された際、このような公開されたマンション管理用のシステムの利用を条件とすることが可能です。
第2の方策は、管理会社を監督する者を監事に選任することです。
そして、監事の職務内容を管理規約や細則に定めることです。
例えば、1回5万円以上の支出には、事前に監事の同意を得なければならないとか、監事は管理者の業務執行に不審な行為を発見した場合は、臨時株主総会を独自に招集して不審な行為を報告しなければならないとかです。
この方策で、気を付けなければならないのは、管理会社に資本的・社会的につながりを持つ者を監事に選任してはならないということです。(管理会社の協会はこの方策を提案しているようです。) この場合は、監督者と非監督者が実質的に同じなので、最終的に管理会社の意思が優先され、監事を選任した意味がありません。
監事に選任される者は区分所有者が良いのですが、リスク軽減化を目的とする監事は業務量が増大し、実質的には理事長並みの負担が予想されます。このような負担のある監事を引き受けてくれる区分所有者がいるかという問題が発生します。また、理事会がある現在でも管理会社に実質的に支配されている管理組合が多いという現状をみれば、マンション管理の知識・経験の乏しい区分所有者個人が専門家である管理会社を監査・監督できるかも問題になります
そこで、管理者だけでなく、監事にも専門家である弁護士・マンション管理士・公認会計士などを選任する方法があります。
3. マンション管理士による第三者管理者
管理会社以外の者を第三者管理に選任した場合について述べます。
前述したように、区分所有法は管理者の就任に資格制限を設けていません。従って、第三者管理者にはだれでも就任することができます。
現状でも、ごく少数ですが、専門家を第三者管理者に選任している管理組合があります。
マンションの専門家として、法律関係の弁護士・司法書士や行政書士、会計・税務関係の公認会計士や税理士、建築関係の建築士などがあります。
しかしながら、これらの者はマンション管理をとりまく一つの業務の専門家でしかありません。マンション管理には多種・多用の業務があります。管理者はそれらの業務すべてを行わなければなりません。その意味では、マンションの第三者管理者に就任する専門家は、マンション管理全般に専門的知識があると国家により認められた国家資格を持つマンション管理士が最適であると自負しています。その意味では、管理業務主任者資格を持つ者も同様ですが、マンション管理士は管理組合をサポートするために設けられた国家資格で、管理業務主任者は管理会社の中にあって、管理会社が法令に従った業務遂行を行うために設けられた国家資格です。管理業務主任者の所持者も制限なく第三者管理者に就任できますが、管理会社のダミーとして、管理会社がOBを使い実質的に管理会社の利益を守る危険性もあります。
管理会社による第三者管理者には、管理組合にとってリスクが高く、管理組合の利益が未来永劫に侵される危険があることは繰り返し述べてきました。
その意味で、管理会社以外の専門家を第三者管理者に選任する方法はこのリスクをなくする決定的な方法だともいえます。
しかしながら、この方法もいくつかの問題があります。
まず、継続性の問題です。
マンションは建物が存続する限り永続します。従って、マンション管理を中断することはできません。
管理会社は法人であり、倒産という事態がない限り永続性を前提としています。担当者に何か事故があってもすぐに代替の者を用意できます。つまり人が変わっても業務は続けて行えます。
しかしながら、マンション管理士や弁護士などの専門家は、個人事業がほとんどで、その者に何か事故(入院・死亡など)があると業務が停止してしまうということがおこり得ます。
その対策は考えておかなければなりません。
第2に補償の問題です。
これらのマンション専門家の多くは個人事業主で資本は限られている場合がほとんどです。万一これらの専門家の過失で依頼者である管理組合に損害が発生した場合、法的には責任追及が可能でも、実質的に補償されるかが問題になります。
弁護士や医師などはそのための保険がありますし、多くはこれらの保険に加入しています。
しかしながら、マンション管理士は、日本マンション管理連合会が提携するマンション管理士賠償責任保険しかありません。つまり、マンション管理士会に所属し、この保険に加入しているマンション管理士しかこの保険に入れないのです。日本にいるマンション管理士資格保持者の非常に少数の者しかこの保険に加入していないのが実情です。
第三者管理者を選任する場合は、受任者がこのような保険に加入しているかどうか確認しましょう。
第3にマンション管理の実務に精通しているかが問題になります。
マンション管理には、経理/出納、法定点検・清掃などの施設保持など多種類の実務があります。
マンション管理士は国家資格によって、マンション管理に関する法令等の知識は最低限保障されていますが、管理会社の担当者と比べて実務知識・経験は乏しいと言わざるを得ません。
また、ほとんどのマンション管理士は管理組合のコンサルタントの地位(いわゆる先生業)に満足し、マンションの管理現場に入ろうとしない実情もあります。
これらの者にマンション管理の実務を本当にまかせて大丈夫のでしょうか。
やはり第三者管理者に選任する段階で、その者がマンション管理全般に知識・経験があるかだけでなく、マンションの管理現場を知っているかを確認することが必要です。
管理組合が大規模修繕工事などを依頼する際に事前に業者の実務実績を調べるなどと同じような調査が必要になります。管理会社に勤務した経験があるとか、管理組合ネットワークなど管理組合サポート事業で活動した経験があるかなどは選択基準になるでしょう。
第4に経理/出納のミエルカです。
管理会社の第三者管理者選任のリスク軽減策で述べたと同様に、管理会社以外でも第三者管理者を選任する場合には、市販のマンション管理システムを導入して、経理・出納の状況を区分所有者が即時に把握することが必要です。
同様に監事制度を導入し、管理者の行動を制限することも必要でしょう。
第5に管理会社との関係がどうなっているかです。
第三者管理者方式は、管理会社に財務的に多大の貢献をもたらします。ただ社会的批判も大きいです。
そこで、管理会社サイドから他の専門家(OBの管理業務資格者など)をダミーとして第三者管理者等に就任させ、その者から下請けとして実務を行い、実質的利益を得ようとする場合もあります。
このようなケースを防止しなければ、やはり管理組合の利益は阻害される可能性があります。
専門家を選択する場合には、管理会社と資本的や営業的に管理会社と関係のない専門家を選任することが重要です。管理会社(特に現状マンション管理を委託している会社)の推薦を受けた専門家以外の専門家を第三者管理者に選任しましょう。
第6に地域性の問題です。
当然ですが、マンション管理はマンションの所在地で行わなければならず、地域との連携は必須です。消防署や警察署、ごみ処理など生活に密着した諸官庁との協力はもちろん、地域の防災活動・社会活動にも協力していかなければなりません。マンションの経年化がすんでおり、巨大地震発生の危険が迫っている現在、その必要性は年々上昇しています。
マンションに居住していない第三者管理者も管理者である限り、地域との関係は維持していかなければなりません。
そのためにも、第三者管理者は同じ市町村(少なくても都道府県)に居住していることが望まれます。
現在、私は所属する神奈川県マンション管理士会の10数名の有志と共に、これらの問題を解決し、マンション管理士による第三者管理を推進する活動をしています。
マンション管理士が最も第三者管理に向いた職業です。そして、複数のマンション管理士が同じ志のもとで補いあうことで、個人事業の弱点をカバーし、管理組合・区分所有者が安心できる第三者管理が行える体制を構築したいと考えています。
神奈川以外マンション管理士の方も、こうした団体を作って活動していただければと願っています。
以上、第三者管理者に関し私見を述べてきました。
繰り返しになりますが、いわゆる第三者管理はマンションの居住者にとって有益なことが多数あります。しかしながらリスクもあります。特に理事会を廃止する第三者管理者型を採用する場合は、このリスクが顕著です。
このリスクがあるから第三者管理は有害だと切り捨てるのではなく、リスク軽減化の方策を充分検討したうえで導入するほうが良いと考えます。
■渡邊元(わたなべ はじめ)・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・
MSAマンション管理士事務所 代表(メールアドレス:msahajime@gmail.com)
・明治大学法学部卒業
・米国法人総合金融会社・航空会社勤務
・大手マンション管理会社に再就職し、マンション管理士等関連資格を取得
・退職後、独立開業