マンション関係判例集(第十五歩)

■規約変更関係訴訟

6.■規約改正で給排水工事における修繕積立金の取崩し可能 平29年9月14日  最決
概要
①規約を改正して修繕積立金を取り崩し、また借入金を修繕積立金に組み込んで、共用部分の給排水管と接続する専有部分の給排水管工事費用及びその設備(浴室設備、トイレ設備、給湯器、洗濯パン)の刷新工事費用に使用できる

5.■駐車禁止規則変更訴訟 平26年5月3日  東京地判
概要
①1階店舗専有部内の一部に駐車を禁止する規約変更・使用細則変更訴訟
②特別の影響を受ける区分所有者の承諾を要する

4.■携帯電話基地局の設置は普通決議で足りる 平21年2月27日  札幌高判
概要
①屋上に携帯電話の基地局電波塔を設置することは重大変更に該当せず、民法602条(短期賃貸借)の適用が排除され、管理規約に基づき普通決議で足りるとした

3.■店舗区分所有者のラーメン屋営業禁止に規約変更は合法 昭63年11月28日 東京地判
概要
①店舗区分所有者の業種制限、営業方法、店舗内装工事に関する制限を盛り込んだ規約変更しラーメン屋営業を承認しない旨の総会決議は不法行為になると訴訟
②一部の区分所有者の権利に特別の影響を及ぼさず、不法行為にならない

2.■有償駐車場に2年毎の抽選制導入決議は規約変更に当たらず平5年11月19日 浦和地判
概要
①有償駐車場に2年毎の抽選制を導入したのは規約変更か使用細則の変更かの訴訟
②駐車場使用契約書(使用細則)の変更であり、規約の変更や共用部分の変更に当たらず、単純多数決で決することができる

1.■共同アンテナ設置後のバルコニーへアンテナ設置 問題平3年12月26日 東京地判
概要
①総会で決議された共同アンテナの設置以降にバルコニ-に個別パラボラアンテナを設置したことに対する撤去訴訟
②管理規約で定めるバルコニ-(共用部分)としての通常の使用方法とはいえなくなったとして、撤去請求が認められた

管理組合と管理会社間訴訟

12.■借地購入打診に管理会社が誤回答し管理組合が訴訟 東京高判 平28年4月7日
概要
①建築当時マンションの敷地(車庫として利用)と思われていた借地の購入を権利者から打診されたが、理事会が判断をせずに購入の意思を示さなかったことから第三者に譲渡され、フロント担当者の誤回答により損害を被ったとして、管理組合が管理会社に対し損害賠償(2億6300万円)を求めていた控訴審
②請求を棄却した原判決(H27.8.28東京地判)を変更し、管理会社に2430万円の支払いを命じたが、管理組合理事らの過失を9割と判断した

11.■元理事長が管理会社の妨害行為に慰謝料請求 東京地判 平28年1月25日
概要
①原告が理事長在任中に、管理会社(被告)から、理事長としての業務を行うにつき、管理規約や管理委託契約に反する妨害行為を複数回受け、精神的苦痛を受けたとして慰謝料等を請求した
②原告の請求を一部認容した

10.■管理員代行業務発注と表見代理 東京地判 平28年1月13日
概要
①原告が、吸収合併した不動産管理会社Xが被告(保守管理会社)に対して、管理員代行業務を発注した事実がないのに委託料名目で金員を支払ったと主張して、不当利得に基づき1736万円の返還等を求めた
②表見代理が成立しており正当な業務遂行であるとする被告の抗弁を認めず、原告の主張を認容した

9.■集中豪雨で機械式駐車場(地下ピット)の車両が浸水責任 東京簡判平28年1月19日
概要
①集中豪雨で機械式駐車場(地下ピット)の車両が浸水した
②浸水被害の予見は容易でなかったとして、管理会社の緊急出勤違反義務を認めず、損害賠償請求を棄却した
③※H28.9.12東京地判も支持し、控訴を棄却した

8.■マンション耐震診断調査報告内容で管理者解任訴訟 東京地判 平28年1月25日
概要
①管理組合の管理者が行った、マンションの耐震診断調査の報告内容に不正な行為があるとして、区分所有者が区分法25条2項の規定に基づき被告の解任を請求した
②管理者が解任事由に該当するような方法や態様で建替えを誘導しているとは認めがたいとして棄却された

7.■管理会社の管理義務違反と委託料返還訴訟 横浜地判 平28年2月25日
概要
①管理組合から管理会社がマンションの管理委託契約上の管理義務を怠ったにもかかわらず、契約上の委託料の支払いを受け、差額を不当に利得しているとして返還を求めた
②棄却された

6.■管理組合法人の通帳印鑑その他の返還請求事件 東京地判 平27年12月9日
概要
①管理組合法人の代表・管理者が被告(管理会社?)に対し、組合法人所有の通帳、印鑑、債券等を返還するよう求めた
②区分法47条11項により、同法4節の「管理者」の規定は組合法人に適用されないことから、原告は、管理者として本件訴訟を追行できないとして却下された
※エステシティ湘南六浦第2団地管理組合法人の通帳印鑑その他の返還請求事件

5.■管理会社元社長が委託契約切り替え活動に訴訟 静岡地判 平27年12月4日
概要
①自ら出資・設立した原告会社(管理会社)の社長を辞任した被告が、管理組合に対し、自社(原告)関係者は「反社会的勢力と関係がある」等伝えて自己の親族会社との委託契約へ切り替えさせたとして、元社長(被告)を不法行為等で提訴した
②原告の主張を一部(不法行為)認容
③→控訴審(H28.5.31福岡高判)も原審を支持

4.■管理会社の管理怠慢による不要工事費用発生訴訟 東京地判 平27年9月18日
概要
①管理組合が、管理会社に委託した管理業務を怠ったために不要な工事費用等が発生したとして損害賠償等を請求した
②一部(立て替え金返還請求)を認容し、反訴事件では、管理会社からの管理委託契約に基づく委託業務費の未払金支払い請求を認容した

3.■管理会社の社員による不法行為だと訴訟 東京地判 平27年8月28日
概要
①管理組合 が管理業務を委託した管理会社日本ハウズイングの従業員の不法行為により、敷地の一部が第三者に譲渡されたことにより区分所有者らが損害を被ったとして、使用者責任に基づき損害賠償請求等した
②一部却下し一部棄却した

2.■管理会社に対する不履行による損害賠償請求 東京地判 平26年11月10日
概要
①管理組合(被告)から管理業務を受託した原告が、業務費を請求した本訴事件に対し、被告が原告に対し委託契約の不履行(ポンプの整備点検や電気・給排水設備点検を行わず、余分な費用が発生した)に基づく損害賠償を請求し、相殺した後の残金を請求した(反訴事件)
②原告の請求は略認容し被告の請求は棄却した

1.■管理委託会社に対する訴訟 東京地判 平27年5月15日
概要
①マンション壱番館と弐番館の両管理組合が、管理委託契約を締結していたA社が管理費等の未徴収や使途不明金の出金等があるとして、債務不履行損害金の支払い等を求めた
②いずれも棄却された

以上