マンション関係裁判例集(第三十四歩)

その他の訴訟①///////////////////////////

5.■精神障害者の配偶者・息子と714条法定監督義務者 最三小判 平28年3月1日
概要
①精神障害者と同居する配偶者であるからといって、その者が民法714条(責任無能力者の監督義務者等の責任)1項にいう「責任無能力者を監督する法定の義務を負う者」に当たるとすることはできない
②認知症に羅漢した高齢の精神障害者が、鉄道会社の駅構内の線路に立ち入り、列車に衝突して死亡した事故に関し、鉄道会社が本件事故により列車に遅れが生ずるなどして損害を被ったとして、本件精神障害者の妻とその息子に対して民法714条に基づく損害賠償請求をした
③いずれも本件精神障害者を「監督する法定の義務を負う者」に当たらないとした
第一審>H26.8.9名古屋地判(H22(ワ)819)控訴審>H26.4.24名古屋高判

4.■交通事故死による加害者への賠償請求の範囲 東京地判 平27年9月25日
概要
①交通事故で死亡したCの相続人が加害者に対して求めた損害賠償請求は認めたが、
②加害者が所有するマンションの管理組合と保険会社(被告)が締結している家庭用火災保険契約(管理組合用)の保険会社への保険金(マンション居住者包括賠償保険金)請求した部分は
②事故時に加害者がマンションに居住していたと認められないとして、棄却した

3.■宅配パスタのチラシ投入会社に慰謝料訴訟 東京地判 平27年12月2日
概要
①マンションの一室に住みマンションを所有・管理する被控訴人が、控訴人(飲食店経営会社)の従業員が「部外者立入禁止」や「チラシ投函禁止」等の掲示を無視してエントランスに立ち入り、宅配パスタのチラシを投函した行為が不法行為に当たるとして、使用者である控訴人会社に対し慰謝料2万円を請求
②1審で認容されたが、
③控訴審では、慰謝料を発生させる程度の不法行為は成立しないとして、原判決を取り消した

2.■監視カメラ撤去等請求事件 東京地判 平27年11月5日
概要
①被告が所有する区分所有建物(アパート)の近辺を監視するために被告がアパートの共用部分に防犯カメラを設置したことは、原告(近隣住民)らのプライバシー権を侵害するとして、その撤去と損害賠償を請求した
②一部認容した(控訴審のH28.4.28東京高判でも支持し棄却)判タ1425-318

1.■共用部分での自殺に対する連帯保証人への損害賠償平26年5月13日  東京地判
概要
①連帯保証人に対する、ワンルームマンションの共用部分での自殺による損害賠償請求
②減額の上で認容された

その他の訴訟②//////////////////////////////////

4.■立退料と引換えに建物の明渡し訴訟 東京地判 平28年5月12日
概要
①本件ビルの所有者らによって設立され本件ビルをテナントに転貸する管理会社が、入居する被告らに対し賃貸借契約の終了と正当事由の存在(築後50年と老朽化し、分譲マンションの建築計画あり)を理由として、
②一定の限度で認容された

3.■マンション所有権移転訴訟 東京地判 平28年4月7日
概要
①原告がDから取得した区分所有建物を、被告が権原なく占有しているとして、その明渡しと取得日以降の賃料相当額及び建物の管理費等の支払いを求めた
②被告からDへの移転は成立していないとして、原告が所有権を取得したことを前提とする明渡請求は否定したが、原告が支払った管理費等については請求を認めた

2.■所有者の売却によるマンション明け渡し訴訟 東京地判 平28年2月12日
概要
①Aが4800万円で購入したマンションに母と弟(被告)と入居して弟被告がリフォーム工事(3100万円)を実施したが、不動産業者であるX(原告)が転売目的でAから6200万円で買い受けたことから、原告が弟被告らに明け渡しを求めたが、弟被告らがこれに応じないことから、原告がマンションの明渡しと明渡しまでの賃料(50万円/月)相当の損害金の支払いを求めた
②賃料を40万円/月と減額のうえ認容した

1.■破産者が妻にマンション所有権移転登記して抹消請求 東京地判 平27年9月24日
概要
①被告の夫(破産者)の破産管財人である原告が、破産者から被告の妻に対する区分所有建物の売買契約は債務不履行により解除されたと、被告妻に対し、解除による原状回復請求権に基づく移転登記の抹消登記手続と建物の明渡しを求めた
②原告の請求を認めた

以上