マンションと法(第十四歩)

■資産価値のあるマンションになる

前回までは,6回にわたって滞納管理費の問題を見てきました。第7歩の連載記事に戻りますが,本連載では,マンション管理適正化法の改正に基づき新たに創設された管理計画認定制度の認定基準に沿って,「資産価値のあるマンションになる」上で関係する法的問題を俯瞰していくことを目的としています。

第7歩の連載記事から半年が経過しましたが,その間に,政省令や告示の公布,各種ガイドラインの公表を経て,令和4年4月1日には改正マンション適正化法が施行されました。この施行に伴い,今後のマンション管理にも多大な影響を与えるであろう管理計画認定制度も,具体的な制度として動き出しました。例えば,東京都では,上記施行日である令和4年4月1日時点において,板橋区,八王子市,小金井市及び府中市が実施を開始しています。また,横浜市においても,令和4年11月頃から開始する予定であることが告知されるなど,その他の地方公共団体(正確には,マンション管理適正化推進計画を作成した市区等)においても順次制度が実施される予定です。

新年度を迎え,総会の開催時期を迎える管理組合も多いかと思いますが,中には管理計画認定制度の申請に向けた準備を進めている管理組合も見受けられます。管理計画認定制度の申請を行うに当たっては,その認定基準を満たすことはもとより,申請を行う旨の総会決議を経ることも必要となりますので,申請を行う予定の管理組合においては,計画的な準備が必要となります。

色々と記載したいことはあるのですが,情報提供はこの程度に止め,今後の連載についての予告となります。冒頭に記載しましたとおり,本連載では管理計画認定制度の認定基準に沿った法的問題を扱っていく予定です。上記認定基準は,①管理組合の運営,②管理規約,③管理組合の経理,④長期修繕計画の作成及び見直し等,⑤その他の5項目が定められています。このうち,③管理組合の経理に関係する内容として,前回までの滞納管理費の問題を扱ってきました。管理組合においては,管理費等の確実な徴収の持つ意味を認識していただき,認定基準における「直前の事業年度の終了日時点における修繕積立金の3か月以上の滞納額が全体の1割以内である」という要件を満たすための各種手段を講じていただきたいと思います。なお,滞納管理費問題に関連する事項として,令和4年2月に,公益財団法人マンション管理センターから「管理組合のためのマンションの空き住戸対応マニュアル」が公表されました。マンションの空き住戸に関わる管理上の問題点について,滞納管理費等の問題に加え,皆様のマンション管理に有益な様々な情報が記載されていますので,是非ご一読ください。

次回からは,上記認定基準の中の,①管理組合の運営に関係する法的問題を見ていきたいと思います。

(弁護士 豊田 秀一)