アメリカ便り(第十八歩)

■ダラスのアパートでの火事体験レポート

数週間前、家内が煙で見えない廊下を通って建物から避難するという体験をしました。彼女からの詳細な報告を受けることができましたので、紹介してみたいと思います。

火事騒ぎがあったのは、平日の日中でした。警報音が建物中に鳴り響き、10分後あたりに大きな消防車が何台も駆けつけました。正直なところ、普段から誤報が多いので、「またいつものことね。どうせしばらくすれば警報も鳴り止むでしょう。」と思っていましたが、ふと気がつくと廊下側で複数の人声が聞こえてきました。

ドアを開けて様子を伺うと、廊下は水浸しで、白い煙で充満していたのでびっくり。消防隊員たちは落ち着いた様子だったのですでに消火活動を終えたようでしたが、まだ白煙は部屋からもくもくと出ていたので、やはり避難しようと判断。急いで外出の用意をしました。

どうやら出火元は同じ4階でしかも廊下を挟んで対角線上の部屋。アフリカ系の若い男性が住んでいたと思います。その部屋の前を通らないと建物の外に出られない状況でしたが、危険を察知して避難しようと決心。白煙の中に入っていくのは少しためらいましたが、ハンカチで口元を押さえて通り過ぎ、無事避難することができました。外では、大勢の人たちがすでに避難していました。

猛暑のダラス路上は40度近い日中。何時間も待たされるのは嫌だったので、スターバックスに逃げ込みました。その数時間後、消防車も去り避難解除されて、自室に戻ることができました。

出火した部屋の前の廊下は、部屋から出されたびしょ濡れのベッドやソファの家具が散乱。大きな送風機で乾燥している様子でした。開け放たれた玄関ドアから見えたのですが、キッチン周辺は燃えていない様子だったので、寝室が出火元だったのかも知れません。

あれから数週間経ちましたが、部屋はまだ修繕作業中です。アメリカでは、アパートに住む際には、レンターズ保険 (Renter’s Insurance) に加入することが要求されますので、損害費用は保険から支払われるようです。こんな時、日本では火災保険の出番と思いますが、加入状況はいかがなものでしょうか。

今回のような体験は初めてでしたが、これがもっと大きな火事だったらと思うとぞっとします。やはり普段から非常事態に備えての用意をしておくことが大切だなと改めて実感しました。

どうぞ皆さんもご用心ください。(米テキサス 谷 景太)